内定の辞退は、誓約書を提出した後でも、辞退できる権利をもつ
■内定の法的な位置づけ
具体的な採用の流れとしては、内々定が伝えられた後、企業が内定日になって、正式に内定通知書を交付し、応募者(学生)が誓約書(内定承諾書)などを出すことになるのが一般的な流れとなるかと思います。
そして、最高裁判所は、昭和54年7月20日付判決において、「企業が大学の新規卒業予定者を採用するに際して実施するいわゆる採用内定の制度の実態は多様であるため、採用内定の法的性質について一般的に論断することは困難であり、当該企業の当該年度における採用内定の事実関係に即して採用内定の法的性質を検討する必要がある」としたうえで、会社が求人募集を行い、この求人募集に対し学生が応募し、筆記試験および適格試験を受け、身上調書を提出し、面接試験および身体検査を受け、その結果、採用内定通知を受けたという事案において「本件採用内定通知の他には労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかったことを考慮するとき、Y社からの募集(申し込みの誘因)に対し、X(注:学生)が応募したのは、労働契約の申込であり、これに対するY社からの採用内定通知は、右申し込みに対する承諾であって、Xの本件誓約書の提出と相俟って、これにより、XとY社との間にXの就労の始期を昭和44年大学卒業直後とし、それまでの間、本件誓約書記載の5項目の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解するのを相当」としています。
この判例の事案は、我が国の企業における一般的な採用形態であり、新卒者採用の多くは、法的には、「始期付解約権留保付労働契約」であると解されることになります。
■内定辞退の意味
以上のように、内定通知によって労働契約が成立する以上、応募者(学生)からの内定辞退は、この労働契約を解約するという法的意味を有することになります。
一方的な契約の解約というと、簡単には許されないという印象があるかもしれませんが、そうではありません。雇用に関して定めている民法第627条は、「期間の定めのない雇用の解約の申入れ」として、第1項に「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と規定して、労働者による解約の自由を認めています。
従って、少なくとも、2週間の予告期間をおく限り、企業側に申し入れれば内定を辞退できることになります。この解約の申し入れは、たとえ内定承諾書を企業に提出していても、法的に認められており、基本的に内定辞退をすること自体には問題はないということになります。
※一部、太字で強調しました
内定を辞退したいが…法的に問題は? : 新おとな総研 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 1/3
YOMIURI ONLINEの上記記事が分かりやすいと思うので、内定辞退について知識がないかなと思う人は読んでおいたほうがよいかもと思います。
もしかすると記事自体が非公開(削除)される?こともあるかもしれないので印刷とかしておくとよいかと思います。また、内定辞退で、企業ととらぶった時に、法的にはこうみたいですと見せる資料としてもよいかなと思う。
おかしな企業は、損害賠償だとかそういう言葉で脅し気味に圧迫してくるので・・・。
また企業側の内定通知だけで労働契約が発生するのでなくて、確か誓約書の提出という部分があって初めて労働契約が成立のはずです。そのことをぼかして書いているところはありそうなので念のため。
本当の不誠実というのは、そういう感じで重要な部分を「ぼかして」、ミスリードさせる態度のほうだと思います。つまり、本当の不誠実というのは、目に見えにくいんです。
誠実な態度を取ったほうが、トラブリにくいかも
・まさに因果応報!? 内定辞退を「お祈りメール形式」で送った就活生に拍手喝采誓約書を提出した後で、辞退するのは社会通念上問題とされると思うので、権利があるからといって安易に考えないほうがよいと思う。
個人的には誓約書を提出する前は、辞退は自由だとはおもうけど、それでも、変なことを言ってくる企業はあったりするので、心構え程度はしておいたほうがよいかと思う。
誠実な態度というか、相手を怒らせて得することは何もないので、事務的にスムーズに処理される方向を考えたほうが賢いよという程度の話です。
誠実な態度をとっても、おかしな会社は平気で暴言を履くので、誠実な態度を取れっていう説教はあまり意味はないとは思う。また、マトモな会社は、不誠実な学生を引き留めようとはしない傾向にあるので、問題なく事務処理は進むことが多いからです。
お互いに捨て台詞いっても仕方がないでしょう程度でしょう。
・円満退職は、経営者連中が考え出した物語
この手の問題は、退職時にも起こりがちで、誠実でないとかいう名目で、
引継ぎできるまで会社を辞めさせないとか、今会社を辞められると会社に損害が被るので、損害賠償させてもらうとかそういうことを言いだすところがあります。もちろん法的に認められるものではないので、無視してたらいいわけですが、誠実に対応しようとしたら、ドツボにはまるのは退職する個人のほうが多いでしょう。
「誠実さ」というのは信頼関係があってこそ意味があるものであって、ないところに誠実さを求めるのはおかしなことだと認識するだけで十分だと思います。必要以上の「誠実さ」は、善意によるものであって、強制することができないという点も重要である。
確かに、誠実であるモラル感はかなり大事だけど、そのことを違う問題にする変えて利用するのも、たいてい不誠実な態度だと思う。
実は、ビジネスマンは不誠実だけど
一定のルール(許容範囲)をもって、不誠実を実行しているので、多くの人は、不誠実さに気づかないだけかと思う。スポンサーリンク